--- title: USB Ethernet Gadget categories: - Tips - Linux tags: - Linux - USB - 周辺機器 excerpt: PC と USB ケーブル1本で接続できる便利な仕組みとその導入方法 --- # USB Gadget とは? コンピューターがあたかも USB デバイスであるかのように振る舞う仕組みです。 # Why USB Gadget? インターネットに接続可能なパソコンに USB で Brain を接続するだけで Brain からインターネットに出たり、パソコンと Brain で双方向に SSH したりできるようになります。電池切れの心配もありません。 # USB コントローラーの動作モードを変更する 初期状態では Brain の USB コントローラーはホストとして動作するため、このままではデバイスになることができません。 2022年1月8日現在ではまだありませんが、コントローラーの動作モードを簡単に切り替えるスクリプトを用意する予定です。 手動で変更するには、以下の手順に従ってください。 1. SDカードの第1パーティションを`/boot`にマウントします ```sh sudo mount /dev/mmcblk1p1 /boot ``` 2. 元のdtsをバックアップします {機種名の数字}は適宜置き換えてください。(例:PW-SH5→imx28-pwsh5.dtb) ```sh sudo cp /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb.orig ``` 3. dtbファイルをテキスト形式に変換します ```sh dtc -I dtb -O dts /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb > dts 2> /dev/null ``` 4. 設定を書き換えます ```sh nano dts ``` `usb@80080000`ノードの中から`dr_mode = "host"`の箇所を探し、`dr_mode = "peripheral"`に書き換えます。スペルに注意しましょう。 書き換え後は以下のようになります。 ```diff ahb@80080000 { usb0: usb@80080000 { pinctrl-names = "default"; pinctrl-0 = <&usb0_id_pins_a>; vbus-supply = <®_usb0_vbus>; - dr_mode = "host"; + dr_mode = "peripheral"; status = "okay"; }; }; ``` 書き換えられたら保存してエディタを終了します。`Ctrl+O`の次に`Enter`を押して保存して、`Ctrl+X`で終了します。 5. 編集したものをバイナリ形式に変換します ```sh dtc -I dts -O dtb dts > dtb 2> /dev/null ``` ```sh sudo mv dtb /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb ``` 6. SDカードの第1パーティションアンマウントします ```sh sudo umount /boot ``` 7. 再起動します ```sh sudo reboot ``` ## コピペ用 1〜3の手順をまとめると以下のようになります。 ```sh sudo mount /dev/mmcblk1p1 /boot sudo cp /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb.orig dtc -I dtb -O dts /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb > dts 2> /dev/null ``` 5〜7の手順をまとめると以下のようになります。 ```sh dtc -I dts -O dtb dts > dtb 2> /dev/null sudo mv dtb /boot/imx28-pwsh{機種名の数字}.dtb sudo umount /boot sudo reboot ``` # Brain に Ethernet Gadget を喋らせる 1. 以下のスクリプトを vi や nano でホームディレクトリに保存します ```sh #!/bin/sh g=/sys/kernel/config/usb_gadget/eth mkdir ${g} mkdir ${g}/functions/rndis.rn0 echo "8a:15:8b:44:3a:02" > ${g}/functions/rndis.rn0/dev_addr echo "8a:15:8b:44:3a:01" > ${g}/functions/rndis.rn0/host_addr mkdir ${g}/configs/c.1 ln -s ${g}/functions/rndis.rn0 ${g}/configs/c.1/ echo "ci_hdrc.0" > ${g}/UDC sleep 1 ifconfig usb0 up sleep 1 dhclient ``` 2. スクリプトに実行属性を付けます ここではスクリプト名を `gadget.sh` としています。1. で保存した名前に置き換えてください。 ```sh chmod +x gadget.sh ``` 3. 実行します 次回起動時からはこのスクリプトを都度実行します。 ```sh ./gadget.sh ``` # パソコン側の対応作業 Windows / Mac / Linux すべてで利用可能です。(注: 2021年2月23日現在、上記スクリプトでは Windows と macOS で認識しないことを確認しており、修正予定です) パソコンを通してインターネットに出るために、ネットワーク接続の共有設定が必要になります。OS ごとに設定方法は異なりますので、別途設定してください。