--- title: 初めての方へ ─ とりあえず動かす tags: - For Beginners - 沼の入り口 excerpt: "" --- # 始めに このページでは、SHARP Brain で Linux を動かす試みから生まれた Linux ディストリビューション **Brainux** を手軽に起動する方法を紹介します。 Linux ディストリビューションは、カーネルとそれ以外のソフトウェアの組み合わせです。Brain の場合はカーネルを起動するブートローダも SD カード上に必要なため、正確にはカーネル・ソフトウェア・ブートローダのセットが必要になります。 リポジトリ [buildbrain](https://github.com/brain-hackers/buildbrain) では、Raspberry Pi と同様に SD カードに書き込むだけで起動可能にした SD イメージを公開しています。ちなみにカーネル・ソフトウェア・ブートローダはどれも自力で準備することもできます。詳しくは本 Wiki の対応するページを参照してください。 質問がある場合や開発に参加したい場合は、まず [Brain Hackers の Discord](https://github.com/brain-hackers/README) に参加していただき、「雑談」チャンネルでお気軽にご質問ください。 # 対応している機種 2021年2月21日現在、対応している機種とハードウェアは以下の通りです。省略のため、PW-SH1 や PW-SJ1 のような同世代の機種は特記すべき差がない限りは "Sx1" のように省略形で記載します。 内蔵ハードウェアの対応状況や使い方については[内蔵ハードウェア](#内蔵ハードウェア)をご覧ください。キーマップもそちらに掲載しています。 |機種 |Linux 起動 |キーボード |デバイスツリー名| |:-----|:----------------:|:----------------:|:---| |PW-ACxxx, GCxxx, TC980|||| |PW-G4000, G5000, G5100, A7000, A9000|||| |PW-G4200, G5200 ~ 5300, A7200 ~ 7400, A9100 ~ 9300, GX500, GX300|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwa7200| |PW-Sx1, HC4, SR1|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh1| |PW-Sx2, HC5|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh2| |PW-Sx3, HC6|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh3| |PW-Sx4, H7700, SR2|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh4| |PW-Sx5, H7800, AA1, AJ1|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh5| |PW-Sx6, H8000, AA2, AJ2|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh6| |PW-Sx7, H8100, H9100, SR3|:white_check_mark:|:white_check_mark:|imx28-pwsh7| |PW-x1, x2, ESxxxx, SR4|||| # SD カードのイメージをダウンロードする [brain-hackers/buildbrain のリリースページ](https://github.com/brain-hackers/buildbrain/releases)にアクセスし、最新リリースの配布物の中から `sdimage-*.zip` と名のついた ZIP ファイルをダウンロードします。`*` は最新リリースのバージョン名を示します。 # SD カードに書き込む 書き込むソフトは Windows / macOS / Linux のどれをお使いの場合でも利用可能な balenaEtcher がお勧めです。[公式サイト](https://www.balena.io/etcher/)にアクセスしてダウンロードしてください。 macOS もしくは Linux をお使いの場合は、ZIP を展開して取り出した .img ファイルを `dd` コマンドでそのまま書くことも可能です。 ## balenaEtcher を使う場合 今回は macOS で balenaEtcher を使用した際の画像で説明します。どの OS でも同様にして書き込めます。 1. balenaEtcher を起動します 2. "Flash from file" をクリックし、ダウンロードした ZIP ファイルを選択します - 展開する必要はありません 3. "Select target" をクリックして書き込み先を選択します - 正しい SD カードを選択しているか慎重に確認してください - 4GB 以上の SD カードであればなんでも使用可能です - SD カードの性能がシステムの使用感に直結するため高速な SD カードを使用することをお勧めします - 画像では 8GB の SD カードを選択しています 4. "Flash!" をクリックして書き込みます - あらためて正しい SD カードが選択されているか確認したうえで書き込んでください - 書き込みには管理者権限が必要なため管理者パスワードを入力します 5. 完成!\ ## dd を使う場合 macOS もしくは Linux をお使いの場合は、`dd` コマンドでも書き込むことができます。以下にコマンド例を示します。 ### macOS の場合 - macOS では `/dev/disk*` に書き込むと非常に遅いため `/dev/rdisk*` を使用します - どのディスクが SD カードかはディスクユーティリティを使用して確認します 以下に実行例を示します。バージョン番号は適宜読み替えてください。 ```sh cd ~/Downloads unzip sdimage-2021-02-21-162410.zip sudo dd if=~/Downloads/sdimage-2021-02-21-162410.img of=/dev/rdisk4 bs=10M ``` ### Linux の場合 以下に実行例を示します。バージョン番号は適宜読み替えてください。 ```sh cd ~/Downloads unzip sdimage-2021-02-21-162410.zip sudo dd if=~/Downloads/sdimage-2021-02-21-162410.img of=/dev/sdc bs=10M ``` # 実機で起動する 書き込み終わった SD カードを Brain に挿入して Linux を起動しましょう。起動には2つの方法があります。 - アプリメニューからの起動 - SD カードからの直接起動 ## アプリメニューからの起動 Windows CE 起動後に "Launch Linux" を追加アプリメニューで選択すると Linux が起動します。 ## SD カードからの直接起動 Windows CE の起動シーケンスに割り込み Linux を直接起動する方法です。後述の問題によりこの方法は標準で無効になっています。有効化するには、以下の手順に従ってください。 ### PW-A7400 の場合 1. [brain-hackers/buildbrain のリリースページ](https://github.com/brain-hackers/buildbrain/releases)にアクセスし、最新リリースの配布物の中から `uboot-a7400-*.zip` と名のついた ZIP ファイルをダウンロードします。`*` は最新リリースのバージョン名を示します 2. `uboot-a7400-*.zip` を展開します 3. 展開したディレクトリの中の `edna3exe.bin` を SD カードの先頭パーティション(ボリューム名が `boot` のパーティション)のルートディレクトリにコピーします 4. SD カードを取り外し実機に差し込みます 5. リセットボタンを押して再起動し Linux が自動で起動することを確認します ### PW-A7400 以外の機種の場合 1. SD カードの先頭パーティション(ボリューム名が `boot` のパーティション)のルートディレクトリを開きます 2. `nk` ディレクトリの中にあるファイルをパーティションのルートディレクトリにすべてコピーします 3. SD カードを取り外し実機に差し込みます 4. リセットボタンを押して再起動し Linux が自動で起動することを確認します 直接起動には下記の問題があります。これらを回避したい場合はアプリメニューからの直接起動を使用してください。 - 一部の機種で使えない: PW-G4200, G5200, A7200, A7300, A9200, GX300, GX500 # ログイン 本体の内蔵キーボードに対応している機種では、ログインシェルが表示されたらユーザー名 `user` パスワード `brain` でログインできます。非対応の機種では、電源供給が可能なタイプの OTG ケーブルを使用してキーボードをつなぐと操作できます。root ユーザーは無効になっているのでご注意ください。 # 内蔵ハードウェア Brain における Linux の動作はまだ初期段階であり、一部のハードウェアしか利用できません。 ## キーボード キーが非常に少ない Brain のキーボードで必要な記号を打つため、キーボードの使用方法は特殊になっています。キートップに記載されたキー以外の文字は、すべて「記号」キーと「シフト」キーを組み合わせて入力します。 Shift キー・Ctrl キー・Alt キーは現実のキーボードに近い配置で対応させています。古い機種は Space キーがないため「Sジャンプ」キーに割り当てています。 ### Gxxxx, Axxxx の場合 |特殊キー|対応するキー|備考| |:-:|:-:|:-:| |Shift|機能|| |Ctrl|音声|| |Alt|前見出|| |Space|Sジャンプ|| |記号|次見出|| ### Sx1 ~ Sx3, HC4 ~ HC6, SR1 の場合 |特殊キー|対応するキー|備考| |:-:|:-:|:-:| |Shift|シフト|| |Ctrl|ページアップ|`《` を横に倒した記号| |Alt|文字切り替え|| |記号|記号|| ### Sx4, H7700, SR2 の場合 |特殊キー|対応するキー|備考| |:-:|:-:|:-:| |Shift|シフト|| |Ctrl|音声|| |Alt|ページアップ|`《` を横に倒した記号| |記号|記号|| ### Sx5 ~ Sx7, H7800 ~ H9100, AAx, AJx, SR3 の場合 |特殊キー|対応するキー|備考| |:-:|:-:|:-:| |Shift|シフト|| |Ctrl|ページアップ|`《` を横に倒した記号| |Alt|音声|| |記号|記号|| ## キーマップ キーと入力される文字のマップを以下に示します。 ## 電源を切る リセットボタンを利用して強制的に電源を切るなどの方法で、正常にシャットダウンしなかった場合、SD カード内のデータを破壊する場合があります。 Brainux を正しく終了し電源を切るためには、次のコマンドを入力します。 ```sh sudo shutdown -h now # こちらでも OK sudo poweroff ``` また、電源ボタンには一般的な PC の電源ボタンと同じ動作が割り当てられているため、押すとシャットダウンできます。 シャットダウンした後、リセットボタンを押すと Windows CE を起動できます。 # その他 |Q|A| |:-|:-| |ファイルシステムを SD カードいっぱいまで拡張したい。|[brain-config](/linux/brain-config/) を使います。|